Biz-Dev探検記(たまに息抜き)

主に情報通信/サービスPF界隈のお話を。たまに旅行とかアニメも。

【事業戦略】メルペイとLINE-Payの業務提携

LINEとメルペイが加盟店相互融通での業務提携を行い、決済における相互利用が可能となりました。政府が強力にキャッシュレスを進める中で規格が乱立、加盟店負担増/利用の煩雑性が発生していることに対する対応であり、ここで一気に面を取りに行く戦略とも見て取れます。

QRの共通化までもっていっていれば相当なインパクトだったと思うのですが、そこは大人の事情があるのかもしれません…

 

【本件概要とサマリ】
<サマリ>

  • LINE-Payとメルペイが加盟店の相互開放で連携を進める方針を発表。
  • 背景には規格の乱立があるとみられ、次の段階に進むのであればQR通化、協業パートナーのポイントにも対応することで巨大決済PFを目指すものとみられます。

<概要>

  • LINE Payとメルペイはキャッシュレスの普及促進を目的に、業務提携を行う旨を公表。具体的には、①加盟店の相互開放/②加盟店アライアンス「MOBILE PAYMENT ALLIANCE」を推進(加盟店がいずれか一方の決済方法を導入すると両方が使える。決済手段QRだが共通ではないとのこと)
  • 背景には競合サービス乱立があり、「加盟店の負担軽減」「ユーザーへのシンプルな決済手段の提供」を達成する手段が本件となる。

<これまでの流れ>

  • 今回の件はキャッシュレス業界を盛り上げる観点からすると必然であり、発表こそ突然でしたが、予想は出来たのかなと。

 (メルペイ)

  • 2/20に、今後の事業戦略としてOPENNESS構想を掲げ、その時点でもKDDIをはじめとする事業者との連携を発表
  • 目的は加盟店NWの構築で、その為のインフラ構築負担えを低減する手段として活用する方策だった(キャッシュレス市場拡大を見越してレバレッジ利かせて拡大)

 (LINE-Pay)

  • 18年11月に中小事業者むけカンファレンスで「日本では現金の信用度が高く、キャッシュレスの普及は容易ではない。現金こそライバルだ」と社長が発言

<今後>

  • 本件はキャッシュレス化への盛り上がりが加速する中で、規格が乱立することで加盟店負担/煩雑な利用方法となることを危惧してのもの
  • 一方で、共通QRによる決済も見越しているとみられ、その発表が次のベンチマークとなりそうです。その中で協業パートナー各社のポイント連携もありうるとみられます。
  • 共通QRに関しては携帯キャリアの中で出遅れているKDDIが絡んでくると、これはまた面白い事業になりそうだなと思います。

【日経記事】
-スマホ決済、相互利用 LINEとメルカリ連携-
LINEとメルカリは27日、今夏をメドにスマートフォンスマホ)による決済サービスで連携すると発表した。加盟店で双方のサービスを利用できるようにする。両社は今後、他社とも連携する方針。スマホ決済は国内で普及を始めたが、サービスを提供する企業は乱立している。企業間の連携が進めば、消費者の利便性は高まりそうだ。
連携するのは、LINEの「LINEペイ」とメルカリの「メルペイ」。例えば、LINEペイの利用者はメルペイのQRコードで決済できるようになる。LINEペイを利用できる場所は18年末時点で133万カ所。メルペイは135万店での導入が決まっている。
スマホ決済を巡っては、ヤフーとソフトバンクの「ペイペイ」のほか、楽天NTTドコモなど参入企業が相次ぐ。
同日、都内で記者会見したLINEペイ(東京・新宿)の長福久弘最高執行責任者(COO)は「サービスが乱立し、加盟店にも消費者にも負担を強いている」と指摘した。
メルペイ(東京・港)の青柳直樹社長は「中立でオープンな決済インフラが必要だ」と強調した。両社は今後、加盟店開拓の営業でも連携する。

【事業戦略】ディーカレット社の事業計画/SUICAと仮想通貨

IIJ子会社のディーカレット社(以下、D社)が事業計画を発表し、SUICAに仮想通貨でチャージが可能となるのかと、もろもろメディアがざわついております。
計画を見たところ具体的ではないですが構想レベルでありますが、実際のところは相当話が進んでいるものとみられます。

【サマリ】

  • IIJ傘下の仮想通貨取引所「ディーカレット」が事業発表会を開催、報道各社がSUICAへの仮想通貨Charge文脈で大きく報道されました。
  • 計画を見るに、当面は既存交換事業者と同じサービスを提供して慣らしつつ、次の段階では上記交換も狙っていると思われます。
  • D社にはMUFG大和証券なども出資しており、個々の企業が運営するポイントの出口としてもありうるか

【計画の概要】
<D社の事業計画>

  • D社は18年1月にIIJを筆頭に19社の出資で設立、3/25に仮想通貨交換業者登録
  • 取引開始は4/16で対象通貨はBTC/BCH/LTC/XRPで、6月以降にはETHも取引可能に(それぞれ、円とBTC建て取引が可能)。
  • 単なる交換業でなく、「仮想通貨/ステーブルコイン/電子マネー/デジタルポイント」などを「デジタル通貨」と定義、キャッシュレス化推進ツールと位置付け(HPでは「リアルとデジタルの橋渡し」と称した決済サービスの開始も予定)

<サービス展開の2段階>
-ステージ1-

  • 既存事業者と同等の交換サービスの展開(Fiat⇔Crypt/Crypt⇔Crypt)
  • 既存決済手段への仮想通貨導入(電子マネーへのチャージ手段を拡大するなど)
  • デジタルアセットとしてのポイント/ギフトと仮想通貨との交換

-ステージ2-

  • ステーブルコインなど仮想通貨と同じ技術を使った複数通貨を持って生活/取引する段階

<発表会での発言>
(D社時田社長)

  • 「仮想通貨を全くやったことがない人を巻き込むのはハードルが高いが当社サービスが投資/決済手段として仮想通貨を身近に感じてもらうきっかけになる」
  • 「既存の決済サービスと連携し、17年に仮想通貨をやっていたが価格が下がったために辞めた人たちが「もう1回やってみよう」と考える」のではないか」

(JR東日本)

  • 「「Suicaは始め、汎用な決済手段である現金チャージからスタート。キャッシュレスの流れの中で、デジタル通貨対応はお客様のニーズを満たす有力な選択肢の一つ」

【日経記事】
-仮想通貨でスイカ入金 IIJ系、サービス検討-
 インターネットイニシアティブIIJ)の持ち分法適用会社で仮想通貨交換会社のディーカレット(東京・千代田)は27日、仮想通貨をJR東日本電子マネーSuica(スイカ)」などのチャージに使えるサービスを検討していると発表した。利便性を高めて仮想通貨になじみが無い顧客層の取り込みにつなげる。
 時田一広社長が27日の記者会見で明らかにした。JR東日本はディーカレットに出資している。電子マネーへのチャージのほか、スマートフォンスマホ)決済とも連携させる考えで、「6~7月に複数の電子マネースマホ決済に対応したい」(時田社長)という。
 電子マネーなどとの連動に先駆けて、同日からスマホ向けのアプリ配信を始めた。4月16日から仮想通貨と現金の交換や、仮想通貨間の取引サービスを始める。「ビットコイン」など4種類の仮想通貨に対応し、6月には追加で「イーサリアム」にも対応する予定だ。
 時田社長は記者会見で「既に仮想通貨を所有している人の利便性を高めるだけでなく、利用場所を増やすことで仮想通貨を始めるきっかけになる」と話した。企業間の送金など、将来的に仮想通貨の用途が広がることにも期待を示した。
 ディーカレットにはIIJなどのほか伊藤忠商事野村ホールディングス三菱UFJ銀行などが出資。25日に資金決済法に基づく仮想通貨交換業者の登録が完了した。マネーロンダリング資金洗浄)対策や不正アクセスの防止策など、営業開始に向けて利用者保護の体制が整ったと判断した。

【事業戦略】メルペイをベースとするメルカリ経済圏について

メルペイカンファレンスが開かれまして、メルカリ/メルぺイの狙う新しい経済が明らかになってきました。めちゃエキサイティングな事業モデル&達成手段で、聞いていてワクワクしました><

滑らかな信用経済。やはり現在のギグエコノミーとかって江戸時代にルーツがある気がしてならない。

 

【全体概要】
<会社概要>

  • ミッションは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」で、「メルカリ」で培った技術力と膨大な顧客/情報基盤をもとに「メルペイ」を提供、将来的には決済手段の提供だけでなく新たな信用を生みだし、様々な金融サービスを提供していくことを目指しているとのこと。
  • また、18/7には「メルペイ」を導入する事業者拡大のためにメルペイコネクトを設立済み。

<メルカリの設立背景(思想とか)>

  • メルカリは、「スマホで個人-個人をつなぐことができたら素晴らしい世の中になる」という考えのもとで生まれ、メルペイは「信用を創造して滑らかな社会を創る」をミッションにメルカリを補完する存在の立ち位置。
  • 加えて、「お金でなく信用で成り立つエコシステム形成」を目指しており、究極的にはお金の必要ない社会を実現させる見立てです。それにあたってのエコシステムの上り方として下記を想定しているものとみられます。
  1. スマホ普及で消費行動が変化する中で必要となくなったモノに対する流動性提供(中古品購入/購入前の売値リサーチのデフォルト化)
  2. 資金流動性へのイノベーションで、第1歩としてスマホ決済サービスのメルペイを始動
  3. 信用経済(Alipeyモデルかはわからないですが…)の基盤となり得るスコアリングの導入

【メルペイカンファレンス】
[サマリ]

  • メルペイの社会実装のお披露目として、戦略含め諸々が発表されたカンファレンスで、主に「UI/UX向上に向けた取り組み」が話されました。具体的には「①パートナー連携を通じた決済手段の拡充」「②パートナー連携を通じた営業力獲得」「③Web上でのメルペイ利用シーン拡大」といったところとなります。
  • 決済乱立の昨今、後発サービスながらも他社との幅広い提携で、長所を活かし短所を埋める“強かさ”が光っています。

[考察]

  • 後発ゆえの見極めがうまいなと感じています。特にパートナー企業との提携を通じた相互補完による基盤構築や、低廉な決済手数料の永続化による加盟店魅力度の向上、その上での中立な基盤を目指している点、非常に面白いと思います。
  • 恐らくOpen/中立な基盤とすることで様々な加盟店に参画してもらい、二次流通を前提とする経済圏を構築、メルカリ本体は「1次→2次」の取引手数料でマネタイズするスキームなのではなかろうかと思います。

[カンファレンスの発表内容]
<エコシステムの形成>

  • メルペイはOpennessを旗頭に、複数のキャッシュレス決済手段の提供を通じたメルカリのUX高度化を行いつつ、公共事業者を巻き込んでマーケティングを含めたPFを形成するとみられます。
  • 後述施策の通り、今回の施策は「メルカリで手にしたお金」の出口拡大がメインで、まさに「二次流通で発生したお金を一次流通に回す」コトの体現だと考えられます。

<導入メリット>

メルペイ導入メリットは大きく下記3つとされています

①売上金保有者を中心とするアクティブ顧客基盤アクセス

  • メルペイのユニーク性はユーザー数だけでなく、ユーザーが”お金を持っている”ということで、決済サービス開始時の手間が最小で済むため、使われる決済手段になる

②年間約5,000億円の売上金を原資とした、新たな需要創出ポテンシャル

  • メルカリ取引での売上金は普段の生活費とは異なる資金で、いわば臨時収入。
  • ユーザーにとっては普段遣い+αの新たな消費需要を喚起する可能性があり、加盟店にとっても集客・収益拡大機会が期待できる

③「メルカリ」のデータ活用→より売れるようにデータを分析年間約5,000億円の売上金を原資とした、新たな需要創出ポテンシャル

  • 顧客分析を通じ、決済利用ニーズが高い地域を特定(エリア/年代/売上規模など)して加盟店展開を推進。
  • 効率的な加盟店拡大(メルペイ)/導入直後より使われる決済手段(加盟店)となることが期待できる

<拡大施策① 決済手段/使える場所の拡大…業務提携ラッシュ>

  • 決済方式及び営業面での事業強化に向けた業務提携を立て続けに発表しました。
  • 内容としては既存の加盟店取込(三井住友/JCB)と新規開拓(KDDI/地方公共団体)の両面で、物理的には劣位となる営業力補完を達成しうるものとみられます。

1:三井住友カード(iD)

  • 事業提携によりNFC:iD決済の利便性/加盟店網と、メルカリのアクティブユーザーをつなげてシナジーを生むことが可能になり、安心安全/便利なキャッシュレス決済を実現する
  • 「メルペイ」の非接触型決済対応開始にあたり事業提携…全国90万か所の「iD」加盟店で利用することが可能になる

2:JCB(QRコード)

  • 事業提携によりコード決済普及で協働を進め、加えてJCBが進める「スマートコード(決済手段乱立に伴うセキュリティや利便性の混乱解消ツールとして)」の普及も推進。
  • JCBが既に持っているクレジットカードの契約網を活用して今後開拓するSmartCode加盟店でメルペイが利用できるようになる

3:KDDI(営業補完)

  • 加盟店獲得のための営業活動を協力して実施。KDDIは「auPAY」として4月に独自のコード決済をリリースするが、KDDIとメルペイが今後、中小の加盟店に営業する際はauPAYとメルペイの両サービスを提案。
  • 物理的な営業力を補完する意味合いに加えて、au walletによる資金アクセスも。

4;地方公共団体(マイクロペイメントへの布石??)

  • 上記とはベクトル異なるものの、データ分析/マーケティング施策を用いた地域貢献による社会課題の解決、ひいては商店街などの加盟店拡大にもつなげる方針
  • 具体例;「福岡市→リサイクル」「仙台市→起業家支援」「千葉市→国家戦略特区」…商店街等も巻き込んだ、より小さいメッシュも網羅したPF形成を模索しているものと。

<拡大施策② 利用者拡大施策>

  • 現在は多くの手段が乱立し、ユーザー/加盟店双方で負担になっているため、UX向上/利便性高いサービスに重点を置いて施策を推進するとのこと。
  • Openness戦略;業種を超えた中立的な決済基盤構築をパートナー企業とともに目指す方針。ユーザーがどこでも使えて加盟店負担が少ない仕組みを目指す。
  1. メルペイあと払い;現在、メルカリで提供されている「メルカリ月イチ払い」での取引実績をもとにした、実店舗でも後払いが可能になる仕組み(2019年春に提供)
  2. ネット決済;Web決済版のメルペイで、Webで購入した商品をワンタップで出品できるようにする構想とのこと(競合の提供する決済手段に一味付けた格好)
  3. 個人間送金;当面は決済に注力するため、現状では考えていないとのこと。

<メルカリならではポイント(考察含む)>

  • 様々な決済手段/ユーザの利用シーン拡大策がありますが、決済手段として使われるには3つ条件があると考えられ、これに沿った形で推進されているものとみられます。

①売上金がすぐに少額でも使える(メルカリでの)
②多くの加盟店で使える(出口の多さ)
③メルカリのアプリでそのまま使える(新たにアプリDLが不要)

  • また、取得データ自体も、既存の商品開発の枠組みを超えたもので「二次流通を前提とした商品開発」に使えるデータが取得可能と捉えられ、これから進んでいくシェアリングエコノミー/サブスクリプション型のサービス設計においては必須のPFになり得ると考えられます。

【事業戦略】Jコインペイ(Byみずほ)について

メルペイカンファレンスに完全に埋もれてますが、実は昨日みずほFGがJコインペイのサービスについて発表をしていました。
https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20190220release_jp.pdf

完全に中小企業狙いだなあと思う一方で、ここを責めるのは確かに銀行としてはありかもと。カネの動くを把握しているからこその強みを生かせるか、面白い戦いになりそうです。

 

【概要】
・Jコインはスマホのアプリで「お金に関する様々な行為(送金/支払い等)」が完結する「銀行系デジタル通貨PF」と定義
・「いつでも・どこでも」「誰でも」「誰とでも」使える資金決済基盤の提供を目指す

<アプリについて>
・アプリは3/1より配信、同日からみずほ銀行の預金口座を登録する手続きも開始。
・利用にあたっては、銀行の預金口座を紐付ける必要があり、みずほBKなど60行の登録が可能
 ┗機能を扱うにはチャージが必要で、チャージ金額上限で送金や決済が可能
  (送金手数料は無料で、チャージ金額は預金口座戻しも手数料無料で可能)

<サービス>
・当初提供サービスは「個人間送金」のみ。
・「店頭決済」は加盟店側の対応なども必要となるため、時期ズレ…
 ┗QR/タブレット仕様の為、ハードルは低いはずですが。。。
 ┗加盟店開拓には銀行の営業網を活用、大規模なチェーン店以外に、中小規模の店舗にも広げる方針
  (加盟店の手数料は売上見合いで、クレカ手数料;2~5%を下回る水準になる見通し)
・今後は下記点に注力するとのことです。
 →加盟店ネットワークの拡充/連携強化
 →海外QR 事業者連携でのインバウンド旅行者決済サービス強化
 →経費精算や給与振込等の『企業-個人間送金』での活用

【考察】
<Jコインについて>
・決済アプリが乱立する中で、後発となったJ-Coinは独自の魅力を出さないと厳しい状況
 ┗ただ事業者目線に立ってみると、導入ハードルの低さ/銀行との取引(良かれ悪しかれ)/銀聯やアリペイとの協業といった部分は魅力的なのかと。
  →店頭決済の簡素化/インバウンド呼び込み/国内旅行者の呼び込み等
  (自身の銀行口座に直連携する決済手段があるのは旅行者にとってはうれしいものと)
  →また、仕入れや従業員への支払いといった部分でも用いるように仕向けるものと

・一方でMUFGコインは水面下では様々な業種との連携を模索していると伝え聞きますが、具体施策が出てこず。SMBCは特に動きなし。
 →銀行の土管化に対する危機感は各行同様ですので、各行で色が出てくるのだと思います

<今後の決済業界について>
・今後、出血還元による「アプリDL」、手数料無料&QRによる加盟店拡大がデフォとなる中で、戦うにはサービス事業者の本業や他業種/国際連携がキーになると思われます。
・以下は今後の業界を考えるうえでの論点です。

1;先行する競合決済サービスとの差別化
先行者の施策で、消費者に対する出血還元&+加盟店手数料無料化がデフォルトに
 ┗斯様な中でデフォルトとなっている条件を上回るメリットを創出する必要が生まれている
  →Jコインは事業者目線(成長産業たる観光客の取込)でのメリット遡及、また「銀行が運営するという信頼感」を前面に
2;他銀行の動き
・上述の通り、MUFGは「MUFGコイン」の発行計画を発表しているものの、未実現。
・現状、Jコインが一定の経済圏を奪取しようとする中で連携路線/独自路線のどちらを選ぶかはかなりの分岐点
  (現状の戦略を見るに、東南アジアとの接続がありそうですが)
SMBCは…うごきなし。
3;海外決済サービスとのアライアンス/データ利活用
・アリババは中国人のみならず日本人が利用できる決済サービスをターゲットにしてきた中で、今回の提携はアリババにとって日本を攻略する橋頭保になるとみられます。
 (ちなみに現在、日本でアリペイ支払いができるのは中国の銀行に口座を持つ中国人観光客など)
 ┗一時期、データ流出(購入履歴データの中国への流出)を懸念した政府から、アリババとの連携NGとのお達しが出たことも…
  →今回の発表では「決済情報に含まれる個人情報を国外に流出させないため、アリババと決済情報は共有しない」としている

【事業戦略】KDDIの金融PF構想

 KDDIが金融領域で攻めに転じました。

 これまでライフデザイン事業としてスマホを入り口とするサービスの拡充に力を入れてきたところ、2/12のリリースで以下を発表しました。

 ・「カブドットコム証券への支配権強化」

 ・「じぶん銀行の連結化」による足腰基盤の強化

 ・「auフィナンシャルHD設立」によるガバナンス体制の整備

 メディアやアナリストレポートにも出ていますが、スマホを起点とする金融事業強化に資源投下を進めるものと推察されます。

 (後は、外からはバラバラしているエンタメや別領域に対しても「金融を付加価値」として強化を進めるものと。)

 

【今回施策の概要】

 今回のKDDIの施策としては大きく3点です。

 https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2019/02/12/3593.html

 

<1;金融持株会社auフィナンシャルHD」の設立>

・これまでバラバラの資本関係であった金融子会社の資本関係整理/ガバナンス強化/意思決定の迅速化を進めるための施策

 (加えて本業とのシナジーを追求する)

・具体的には本体で進める「スマートマネー構想*」の推進役の立ち位置に。

 (*スマホを入り口とする金融サービスのワンストップサービス提供)

 ┗auウォレットをハブとして、スポークに各金融サービスがある構想なのだと思います。

・あとは社名変更するそうです。「au-」シリーズでの展開を行うとのこと。へえ、ちょっと長い…

 

<2;じぶん銀行連結子会社化>

じぶん銀行の第三者割当増資を引き受け、連結子会社化を実施。

 ┗出資比率を現状の50%から63.78%へ拡大。

・なんだかんだで銀行はすべての金融機能の基盤機能。連結化による金融機能基盤強化に繋げるものと。

 →今後の決済基盤提供等のベースにしつつ、データの獲得

 

<3;カブドットコム証券の関係会社化>

カブドットコム証券の株式TOBを実施

 ┗49.0%株式の取得を目指す(買付額は876億円)

・証券はKDDIが揃える金融シリーズから抜けており、資産運用のラインナップ拡大を狙うものとみられます

 (加えて、KDDI-AMとの連携/じぶん銀行との連携強化も)

 

 

 

 

【考察】

・やはり狙いは「スマホ金融」で、スマホを入口とする金融サービスのワンストップ提供を行いたいのだと思われます。

 ┗その基盤の上でデータ利活用やUI改善/UCX提供を行うことで通信の伸び鈍化をカバーして新しい柱へ

 ┗さらに、そこからEコマース/娯楽/教育といった分野への消費を促進して、「au経済圏」拡大を

・その背景ははやり「通信業態への風当たりの強さ」があるものとみられます。

 ┗業界に対する「政からの圧力」

 ┗抑々格安スマホの比率が上昇している中での、楽天の新規参入という業界構造の変化

 *加えて、KDDI顧客の流動性は他社に比べて比較的高い点も。

・結局のところ、通信キャリアの強みは「通信費の捕捉&インセンティブ(固定費であり、自然にポイント(インセンティブ)がたまる仕組みがすでに構築されている)」にあり、LINEなどと異なり、スムーズなフローがある点だと思われます。

 └4000万人のアクティブな顧客基盤に対して、リーチできる点も

・加えて、集められる情報の深みが増すこともあるんだと思います。

 └ライフステージに合わせた金融サービス提案+解約の防止にも援用可能n

【BCx事業戦略】楽天のBC活用

 楽天のBlockchain(BC)の活用状況について、先日行われたカンファレンスでの講演をもとにまとめ&考察をしました。
 楽天は現在エンタープライズ向けのBC-Platform(PF)を提供。特徴としてはBC技術の詳細が分からずとも機能を利用できることで、中小の事業者(顧客)を確り見て事業展開している印象を得ました。

<PFの構成要素>
 楽天BCPFの構成要素/詳細は下記の3つで、基本的に楽天に出店する中小事業者に対するサービス展開を行っているものとみられます。
 楽天は2016年にBC研究所(英)を開設して研究を進めてきましたが、「Why BC??」の議論は常にあり、必要性が理解されない状況は変わらないとのことです。ただ、目的の明確化(ユースケースの特定)を通じて開発も進み、実装も進んだとのこと。

(1) エンタープライズ向けBC-PF
 企業/法人を対象とするBC-PF環境(Hyperledger Fablicメイン)を提供。セキュリティの高さ/可用性/クラウドベースでの開発を行える環境を提供
(2) 仮想通貨サービス
 第三者の取引所が提供するサービスと繋ぐ、BC-PFを通じて簡単に仮想通貨売買/取引を行うことのできるサービスを提供
(3) キーカストディサービス
 暗号化キーのセキュア管理を実現するための機能をBC-PFを通して提供。顧客はPFを介したサービス開発/構築により暗号化キーをセキュアに管理できる

<楽天PFへのBC適用>
楽天は16年に開設したBC-Labで既存サービスへの利活用を模索、4つのユースケースですでに実装を行ったとのこと。特に、楽天ポイントとBCを組み合わせた独自の仮想通貨「楽天コイン」の発行構想は非常に興味深いものでした。

(1) 楽天エナジートレーディングシステム(Rets)
 Retsは楽天エナジーが提供するPF上で稼働するCO2排出権のトレーディングシステム。BCでCO2排出権管理を行うことでシステム構築をしている。
(2) R-Star
 現在、社内でPoCを行っている評価のトークン化PJ。このサービスで例えば、同僚に仕事を助けてもらったときに、メッセージとコインを送ることが可能となる。
(3) ポイントサービスxブロックチェーン
 楽天の持つスーパーポイントをコアとする経済圏を構築。ポイントサービスとBC技術を組み合わせた新サービス/仕組みの開発が進行中。社内でいくつかのPoCを行っているとのこと。
(4) 楽天傘下「みんなのビットコイン
 昨年8月に買収した「みんなのビットコイン」を通じ、本年4月からサービス開始を予定。具体的には、ホットウォレットでのサービス提供を検討、サービス機能は楽天PFを利用した開発が進行中。
 単純な取引所サービスでなく、他サービス連携を進めて利用者にさらなる高い顧客体験を提供。

<考察>
 楽天の今回の発表に関しては「着実にBCの事業実装」を進め、「仮想通貨のサービス化」も進めていることが大きいと感じます。
 前者に関しては既に抱えている事業/技術知見(AIやデータ解析など)とBCを組み合わせることでサービスのUI/UX向上につなげようとしている点は顧客(クライアント/カスタマ双方)をしっかり見ている印象を受けました。
 後者の仮想通貨はポイント事業や金融事業を展開する中で見えた日本の特性をBC活用することでUI/UX改善につなげていこうという意志が見て取れます。おそらく、「新しいデジタルアセットとしての仮想通貨」という認識を広め、決済手段の一つとして活用を行って経済圏の強化につなげていくものとみられます。

【Blockchain】ETHのハードフォーク(コンスタンティノープル)について

ちょっとマニアックですが、1/16にブロックチェーンNWの一つであるイーサリアムでハードフォークが行われるのでまとめてみました。コンスタンティノープルと名付けられた今回のハードフォーク、今後の環境としては、開発しやすくなる方向性なのかもしれません。

<サマリ>
・今回のアプデは「コンスティノープル」と名付けられており、イーサリアム2.0完成に向けての準備の位置づけ。
・内容は「本丸;PoS導入に向けた準備プロセス=移行プロセスをスムーズにする調整」となります。
 ┗マイニング報酬引き下げ/生成何位の調整/アーキテクチャの改善など
 ┗今回のハードフォークは全員合意の下で行われ、以前のBTCやETHのハードフォークと一線を画しています。

<イーサリアム2.0とは>
完全体へ向けた一里塚であるイーサリアム2.0では、大きく2つの重要な変更がなされる想定。

[1;コンセンサスアルゴリズムがPoSへ]
トランザクションの格納ブロック生成者を決めるルールが、PoSへ移行
・現在採用しているPoWでは特定条件を満たす数値の計算競争であるマイニングを要し、比較的安全性の高いアルゴリズムとして実証されています。
 →一方で、相場急騰に伴う過度なマイニング競争の発生や、増加するNWの規模に対応できないスケーラビリティ問題、電力消費量などが問題視されています。
・採用予定のPoSは自身の資産(保有通貨)を担保(Staking)としてブロック生成者となる機会を得ることが出来ます。
 ┗ブロックに不正記録が存在した場合には担保没収、マイニングを行わずに信用度の高いブロック生成者選出ができると考えられています。

[2;シャーディングの導入]
・スケーラビリティの改善に向けた技術の導入
・現在ノードになるためにはBCNWをほぼすべてDLせねばならずいわゆるスケーラビリティ問題が存在しています。
 ┗セキュリティ観点では長所ですが、個々のマシンのストレージを圧迫。
 →将来的に一部のスパコンでしか処理できない事態になることが懸念されています。
・導入準備を進めるシャーディングでは、ノードの大きさに応じてBCを断片的に保存/管理できるようにし、より多くのマシンがNW維持に参加できるようにする技術です。

<今回のコンスタンティノープル>
イーサリアム1.0→2.0への4段階のうちの3.5段階目の位置付けで、当初想定ロードマップよりもディレイしている状況
 (諸々の外部環境の変化によるDelayとのこと)
コンスタンティノープルでのアプデは下記の5件を実施、PoS導入へ備える。
 [1: EIP145:ビット演算変換機能の追加]
  ┗Ethereum仮想マシン(EVM)にビットシフト命令を実装、スマートコントラクトにかかるGAS代を低減
 [2: EIP1014:初期化の済んでいないアドレスとのやり取りを可能に]
  ┗State Channelのパフォーマンスを改善する、新しいトランザクション作成命令の追加
 [3: EIP1052:特定のアドレスハッシュを生成するオペコードの追加]
  ┗スマートコントラクトの検証コストを削減する、新規命令の追加
 [4: EIP1234:「ディフィカルティボム」の延長、マイニング報酬の減少化]
  ┗ブロック生成の難易度上昇率の緩和とブロック生成報酬の2ETHへの引き下げ
 [5: EIP1283:ガス計量法の変更]
  ┗1つのトランザクションで複数のストレージを扱うようなスマートコントラクトのGAS代を節約する

・今回のアプデの中で最重要なのは「EIP1234; ”ディフィカルティボム”の条件緩和」だと考えられます。
 (マイニング難易度の上昇速度を遅くし、かつブロック生成報酬を3ETH→2ETHに減少)
 ┗「ディフィカルティボム」はマイニング難易度を徐々に高めて、収益性を低下/マイニング撤退促進をするプログラム
 →現段階のボムは難易度の上昇速度が速すぎ、マイニング収益性が低くなりすぎてPoS導入前にNW処理能力が大きく低下する懸念がありました