Biz-Dev探検記(たまに息抜き)

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【Blockchain】ETHのハードフォーク(コンスタンティノープル)について

ちょっとマニアックですが、1/16にブロックチェーンNWの一つであるイーサリアムでハードフォークが行われるのでまとめてみました。コンスタンティノープルと名付けられた今回のハードフォーク、今後の環境としては、開発しやすくなる方向性なのかもしれません。

<サマリ>
・今回のアプデは「コンスティノープル」と名付けられており、イーサリアム2.0完成に向けての準備の位置づけ。
・内容は「本丸;PoS導入に向けた準備プロセス=移行プロセスをスムーズにする調整」となります。
 ┗マイニング報酬引き下げ/生成何位の調整/アーキテクチャの改善など
 ┗今回のハードフォークは全員合意の下で行われ、以前のBTCやETHのハードフォークと一線を画しています。

<イーサリアム2.0とは>
完全体へ向けた一里塚であるイーサリアム2.0では、大きく2つの重要な変更がなされる想定。

[1;コンセンサスアルゴリズムがPoSへ]
トランザクションの格納ブロック生成者を決めるルールが、PoSへ移行
・現在採用しているPoWでは特定条件を満たす数値の計算競争であるマイニングを要し、比較的安全性の高いアルゴリズムとして実証されています。
 →一方で、相場急騰に伴う過度なマイニング競争の発生や、増加するNWの規模に対応できないスケーラビリティ問題、電力消費量などが問題視されています。
・採用予定のPoSは自身の資産(保有通貨)を担保(Staking)としてブロック生成者となる機会を得ることが出来ます。
 ┗ブロックに不正記録が存在した場合には担保没収、マイニングを行わずに信用度の高いブロック生成者選出ができると考えられています。

[2;シャーディングの導入]
・スケーラビリティの改善に向けた技術の導入
・現在ノードになるためにはBCNWをほぼすべてDLせねばならずいわゆるスケーラビリティ問題が存在しています。
 ┗セキュリティ観点では長所ですが、個々のマシンのストレージを圧迫。
 →将来的に一部のスパコンでしか処理できない事態になることが懸念されています。
・導入準備を進めるシャーディングでは、ノードの大きさに応じてBCを断片的に保存/管理できるようにし、より多くのマシンがNW維持に参加できるようにする技術です。

<今回のコンスタンティノープル>
イーサリアム1.0→2.0への4段階のうちの3.5段階目の位置付けで、当初想定ロードマップよりもディレイしている状況
 (諸々の外部環境の変化によるDelayとのこと)
コンスタンティノープルでのアプデは下記の5件を実施、PoS導入へ備える。
 [1: EIP145:ビット演算変換機能の追加]
  ┗Ethereum仮想マシン(EVM)にビットシフト命令を実装、スマートコントラクトにかかるGAS代を低減
 [2: EIP1014:初期化の済んでいないアドレスとのやり取りを可能に]
  ┗State Channelのパフォーマンスを改善する、新しいトランザクション作成命令の追加
 [3: EIP1052:特定のアドレスハッシュを生成するオペコードの追加]
  ┗スマートコントラクトの検証コストを削減する、新規命令の追加
 [4: EIP1234:「ディフィカルティボム」の延長、マイニング報酬の減少化]
  ┗ブロック生成の難易度上昇率の緩和とブロック生成報酬の2ETHへの引き下げ
 [5: EIP1283:ガス計量法の変更]
  ┗1つのトランザクションで複数のストレージを扱うようなスマートコントラクトのGAS代を節約する

・今回のアプデの中で最重要なのは「EIP1234; ”ディフィカルティボム”の条件緩和」だと考えられます。
 (マイニング難易度の上昇速度を遅くし、かつブロック生成報酬を3ETH→2ETHに減少)
 ┗「ディフィカルティボム」はマイニング難易度を徐々に高めて、収益性を低下/マイニング撤退促進をするプログラム
 →現段階のボムは難易度の上昇速度が速すぎ、マイニング収益性が低くなりすぎてPoS導入前にNW処理能力が大きく低下する懸念がありました