【事業戦略】メルペイとLINE-Payの業務提携
LINEとメルペイが加盟店相互融通での業務提携を行い、決済における相互利用が可能となりました。政府が強力にキャッシュレスを進める中で規格が乱立、加盟店負担増/利用の煩雑性が発生していることに対する対応であり、ここで一気に面を取りに行く戦略とも見て取れます。
QRの共通化までもっていっていれば相当なインパクトだったと思うのですが、そこは大人の事情があるのかもしれません…
【本件概要とサマリ】
<サマリ>
- LINE-Payとメルペイが加盟店の相互開放で連携を進める方針を発表。
- 背景には規格の乱立があるとみられ、次の段階に進むのであればQR共通化、協業パートナーのポイントにも対応することで巨大決済PFを目指すものとみられます。
<概要>
- LINE Payとメルペイはキャッシュレスの普及促進を目的に、業務提携を行う旨を公表。具体的には、①加盟店の相互開放/②加盟店アライアンス「MOBILE PAYMENT ALLIANCE」を推進(加盟店がいずれか一方の決済方法を導入すると両方が使える。決済手段はQRだが共通ではないとのこと)
- 背景には競合サービス乱立があり、「加盟店の負担軽減」「ユーザーへのシンプルな決済手段の提供」を達成する手段が本件となる。
<これまでの流れ>
- 今回の件はキャッシュレス業界を盛り上げる観点からすると必然であり、発表こそ突然でしたが、予想は出来たのかなと。
(メルペイ)
- 2/20に、今後の事業戦略としてOPENNESS構想を掲げ、その時点でもKDDIをはじめとする事業者との連携を発表
- 目的は加盟店NWの構築で、その為のインフラ構築負担えを低減する手段として活用する方策だった(キャッシュレス市場拡大を見越してレバレッジ利かせて拡大)
(LINE-Pay)
- 18年11月に中小事業者むけカンファレンスで「日本では現金の信用度が高く、キャッシュレスの普及は容易ではない。現金こそライバルだ」と社長が発言
<今後>
- 本件はキャッシュレス化への盛り上がりが加速する中で、規格が乱立することで加盟店負担/煩雑な利用方法となることを危惧してのもの
- 一方で、共通QRによる決済も見越しているとみられ、その発表が次のベンチマークとなりそうです。その中で協業パートナー各社のポイント連携もありうるとみられます。
- 共通QRに関しては携帯キャリアの中で出遅れているKDDIが絡んでくると、これはまた面白い事業になりそうだなと思います。
【日経記事】
-スマホ決済、相互利用 LINEとメルカリ連携-
LINEとメルカリは27日、今夏をメドにスマートフォン(スマホ)による決済サービスで連携すると発表した。加盟店で双方のサービスを利用できるようにする。両社は今後、他社とも連携する方針。スマホ決済は国内で普及を始めたが、サービスを提供する企業は乱立している。企業間の連携が進めば、消費者の利便性は高まりそうだ。
連携するのは、LINEの「LINEペイ」とメルカリの「メルペイ」。例えば、LINEペイの利用者はメルペイのQRコードで決済できるようになる。LINEペイを利用できる場所は18年末時点で133万カ所。メルペイは135万店での導入が決まっている。
スマホ決済を巡っては、ヤフーとソフトバンクの「ペイペイ」のほか、楽天やNTTドコモなど参入企業が相次ぐ。
同日、都内で記者会見したLINEペイ(東京・新宿)の長福久弘最高執行責任者(COO)は「サービスが乱立し、加盟店にも消費者にも負担を強いている」と指摘した。
メルペイ(東京・港)の青柳直樹社長は「中立でオープンな決済インフラが必要だ」と強調した。両社は今後、加盟店開拓の営業でも連携する。