Biz-Dev探検記(たまに息抜き)

主に情報通信/サービスPF界隈のお話を。たまに旅行とかアニメも。

散歩はBiz-Devに必須の行動なのだ?!

自分に限らずだけど、散歩とか素振りしてる時って結構良いアイディアが浮かぶことが多くて、今携わってる新規事業とか事業開発においては色々ツールあれどBestだと思うわけでして。
ちょっと昔の論文(2014年/Stanford)となりますが、[体動かすこと&脳の活性化]について科学的な裏付けをした論文を紹介します。
https://news.stanford.edu/news/2014/april/walking-vs-sitting-042414.html

やっぱりオフィスで云々唸っててもううアイディアなんか浮かばない(周りのおっさんたちがうるさいしw)し、自然の音とか街の空気を感じながら歩いてみると脳も活性されるのであります。

<論文サマリ>
・人の創造性は[座ってる時]よりも[歩き回ってる時]の方が高くなる
<論文での実験内容>
・176人の学生に対して[Guilford’s Alternative Uses Task]を用いてアイディア創出を行ってもらう
 └被験者に共通対象物を渡して、使い方を思いつく限りリストアップする
 └出てきたアイデアは、オリジナリティー/数/詳細を参考に点数化
・実験では学生に[室内で座ってる時][屋外で座ってる時][屋内でランニングマシーンに乗ってる時][外を歩いている時]の4パターンで実施
<実験結果>
・屋内外に限らず、歩いている時は座っている時よりも60%創造的になった
 └加えて被験者の81%は歩き回っている時に創造性が向上
・歩いた後に2回目のテストを受けても向上した創造性は保持、歩いた後に座った場合でも、創造性の向上がしばらく保持された。
・具体的な理由は示されないながら、歩くことで血行が良くなり、創造性を刺激したのかなと。
<示唆>
・トレーニングマシーンと屋外散歩に違いはなく、創造性が高まる…環境/知覚でなく歩くって行為が創造性を高めるファクターとして大きい
・一方で考えを集中させたり、正解をだすような場合には歩くよりも座っている方が効果的

散歩にあたっては私の尊敬してやまない高田純次さんもバナナマン日村さんも番組でやってますよね、日常生活での新しい気づきもあってお薦めなのです。
https://www.tv-asahi.co.jp/junsanpo/
https://www.bs-asahi.co.jp/himutaro/

企業むけBlockchainって最近どうなのか

今でこそ完成車メーカーでMaaSなんてお仕事をBiz-Dev的な立ち位置で進めさせてもらってるわけですが、過去にはお仕事でBlockchainに結構絡んでいたこともあり、その頃に脚光浴びてたプロジェクトってどうなったのかなあと調べてみたら結構終了しているものが多い…

個人向けは殆どがポンジスキームではやく滅びればいいのにと思っていつつ、企業向けは拡張可能性や連携ハードルの低さといった観点で現場の煩雑な業務を効率化&SIERの駆逐に一役買うと思っていただけに残念…。

ちょっとまとめてみました。得てして最先端技術で既存システムを良くするってのは色々な課題が立ちはだかる…世の中、効率とビジョンだけでは進まないんだよなあ…。

(1)TradeLens
IBMMAERSKがコラボして造成した通関に係る業務共通化を目指した取り組み、物量多くて紙で管理してるってBlockchain界的には垂涎の的だった業界に巨人が本気で殴りこんできたと思ったけど、終了…。
ローンチ時にはかなり脅威に感じたけど、後に続く加盟社が増えなかったのおややとは思ってた。やはり、貿易にかかる商慣習は各地方で異なるし、何より現場で使う人のUI/UXにまで思いが至らなかったのだろうなあと推察。
今では各地域で同様の共通基盤PFが発生して地域最適化が主流になってきているので、それはそれで正しい方向性かと思ったり。記事中の失敗要因にも書いてあるけれど、データ共有に係るインセンティブ設計で躓いたところに、コロナでの海運量激減がとどめを。刺したのだなと。ビジョン/プロダクトがいくら良くとも広がらない事例だと思われです。
https://www.ledgerinsights.com/tradelens-blockchain-ibm-maersk-shutters-shipping/

(2)オーストラリア主権取引所(ASX)によるBlockchain用いた決済基盤の整備プロジェクト

これまた停止。既存の取引/決済/管理に係る機能プラットフォームを置換する想定でしたが、これも2017年くらいから延期に次ぐ延期を続けており、果てには終了判断。
進行中プロジェクトの終了って身を割くほど厳しいので英断だと思いつつ、発想も機能も正しいと思うので知見/経験って他の分野でもいかせそうだよなあと思います。最近元気なロンドン証取(LSE)で使うのもありでしょうし。日本でもJPXが信託銀行と組んでバック業務の効率化に資する仕組み構築してたけどどうなったのかな??
https://www.theguardian.com/australia-news/2022/dec/05/cryptocurrency-exchange-swyftx-axes-90-jobs-with-ceo-blaming-aftershocks-of-ftx-collapse?

SONYxHondaのクルマ@CES2023

久々に投稿でありますが、前回投稿から環境が変わって完成車メーカーに勤めてるもので、それ系の記事が増えるかもです!!さて、それではまずはCES2023でのHonda&SONYの発表から。

 

-本文-

CESでのSONYxHondaのコンセプトカー発表がありましたのでまとめと雑感含め共有を。何となくなんですが、MUJIっぽい…

移動時間でのアクティビティ関与による顧客LTV拡大に向けて、どの様なソフトや機能をラインナップとして揃えるか、そこに向けてどういった提携戦略を立てていくかが肝要になりそうであります。

<本編;58:00くらいから開始>
https://www.youtube.com/watch?v=UVMcjxW68Bc

<概要>
・コンセプトカーのブランドは[Afeera]名でグレーカラーのセダンカタイプのクルマ
・外観は下記のようなユニークな特徴を備える

 └ヘッドライトユニットの間にメディアバーがあり、情報表示(充電情報や歩行者への情報)に使われる??
 └メディアバーはパーソナライズも可能とみられるが各国政府の規制に準する形になりそう
・内装はシンプルだがガラス面の略全てがディスプレイ化
 └サイドミラーを含むフルワイドのバンクスクリーンを搭載、後部席にも個別スクリーンが設置
 └発表では「乗車する人にあらゆるエンタメを提供することを重視する」とアピール
 (PSの搭載は触れないがEpicとの提携によるエンタメコンテンツ開発をしていると)
・技術/機能面での特徴は下記
 └45個のカメラ/センサーを搭載(SONY製)し、Hondaが開発する安全システムと連携
 (発表ではLv3の自律走行が可能とアピール)
・販売等の情報は下記
 └量産モデルは25年前半に予約開始して年末に受注確定、オンラインでの受付
 └北米での初の納車は2026年になる(生産はHonda北米拠点にて)

<新しい情報>
・予約受付/製造/出荷のスケジュールが提示された点
・センサーの数が前回発表の40から45に増加した
・搭載ソフトウェアに関してサブスク提供を期待しているとSONYが発表
 (オーナーは特定機能を利用するために月額料金を支払う)

【事業戦略】メルペイとLINE-Payの業務提携

LINEとメルペイが加盟店相互融通での業務提携を行い、決済における相互利用が可能となりました。政府が強力にキャッシュレスを進める中で規格が乱立、加盟店負担増/利用の煩雑性が発生していることに対する対応であり、ここで一気に面を取りに行く戦略とも見て取れます。

QRの共通化までもっていっていれば相当なインパクトだったと思うのですが、そこは大人の事情があるのかもしれません…

 

【本件概要とサマリ】
<サマリ>

  • LINE-Payとメルペイが加盟店の相互開放で連携を進める方針を発表。
  • 背景には規格の乱立があるとみられ、次の段階に進むのであればQR通化、協業パートナーのポイントにも対応することで巨大決済PFを目指すものとみられます。

<概要>

  • LINE Payとメルペイはキャッシュレスの普及促進を目的に、業務提携を行う旨を公表。具体的には、①加盟店の相互開放/②加盟店アライアンス「MOBILE PAYMENT ALLIANCE」を推進(加盟店がいずれか一方の決済方法を導入すると両方が使える。決済手段QRだが共通ではないとのこと)
  • 背景には競合サービス乱立があり、「加盟店の負担軽減」「ユーザーへのシンプルな決済手段の提供」を達成する手段が本件となる。

<これまでの流れ>

  • 今回の件はキャッシュレス業界を盛り上げる観点からすると必然であり、発表こそ突然でしたが、予想は出来たのかなと。

 (メルペイ)

  • 2/20に、今後の事業戦略としてOPENNESS構想を掲げ、その時点でもKDDIをはじめとする事業者との連携を発表
  • 目的は加盟店NWの構築で、その為のインフラ構築負担えを低減する手段として活用する方策だった(キャッシュレス市場拡大を見越してレバレッジ利かせて拡大)

 (LINE-Pay)

  • 18年11月に中小事業者むけカンファレンスで「日本では現金の信用度が高く、キャッシュレスの普及は容易ではない。現金こそライバルだ」と社長が発言

<今後>

  • 本件はキャッシュレス化への盛り上がりが加速する中で、規格が乱立することで加盟店負担/煩雑な利用方法となることを危惧してのもの
  • 一方で、共通QRによる決済も見越しているとみられ、その発表が次のベンチマークとなりそうです。その中で協業パートナー各社のポイント連携もありうるとみられます。
  • 共通QRに関しては携帯キャリアの中で出遅れているKDDIが絡んでくると、これはまた面白い事業になりそうだなと思います。

【日経記事】
-スマホ決済、相互利用 LINEとメルカリ連携-
LINEとメルカリは27日、今夏をメドにスマートフォンスマホ)による決済サービスで連携すると発表した。加盟店で双方のサービスを利用できるようにする。両社は今後、他社とも連携する方針。スマホ決済は国内で普及を始めたが、サービスを提供する企業は乱立している。企業間の連携が進めば、消費者の利便性は高まりそうだ。
連携するのは、LINEの「LINEペイ」とメルカリの「メルペイ」。例えば、LINEペイの利用者はメルペイのQRコードで決済できるようになる。LINEペイを利用できる場所は18年末時点で133万カ所。メルペイは135万店での導入が決まっている。
スマホ決済を巡っては、ヤフーとソフトバンクの「ペイペイ」のほか、楽天NTTドコモなど参入企業が相次ぐ。
同日、都内で記者会見したLINEペイ(東京・新宿)の長福久弘最高執行責任者(COO)は「サービスが乱立し、加盟店にも消費者にも負担を強いている」と指摘した。
メルペイ(東京・港)の青柳直樹社長は「中立でオープンな決済インフラが必要だ」と強調した。両社は今後、加盟店開拓の営業でも連携する。

【事業戦略】ディーカレット社の事業計画/SUICAと仮想通貨

IIJ子会社のディーカレット社(以下、D社)が事業計画を発表し、SUICAに仮想通貨でチャージが可能となるのかと、もろもろメディアがざわついております。
計画を見たところ具体的ではないですが構想レベルでありますが、実際のところは相当話が進んでいるものとみられます。

【サマリ】

  • IIJ傘下の仮想通貨取引所「ディーカレット」が事業発表会を開催、報道各社がSUICAへの仮想通貨Charge文脈で大きく報道されました。
  • 計画を見るに、当面は既存交換事業者と同じサービスを提供して慣らしつつ、次の段階では上記交換も狙っていると思われます。
  • D社にはMUFG大和証券なども出資しており、個々の企業が運営するポイントの出口としてもありうるか

【計画の概要】
<D社の事業計画>

  • D社は18年1月にIIJを筆頭に19社の出資で設立、3/25に仮想通貨交換業者登録
  • 取引開始は4/16で対象通貨はBTC/BCH/LTC/XRPで、6月以降にはETHも取引可能に(それぞれ、円とBTC建て取引が可能)。
  • 単なる交換業でなく、「仮想通貨/ステーブルコイン/電子マネー/デジタルポイント」などを「デジタル通貨」と定義、キャッシュレス化推進ツールと位置付け(HPでは「リアルとデジタルの橋渡し」と称した決済サービスの開始も予定)

<サービス展開の2段階>
-ステージ1-

  • 既存事業者と同等の交換サービスの展開(Fiat⇔Crypt/Crypt⇔Crypt)
  • 既存決済手段への仮想通貨導入(電子マネーへのチャージ手段を拡大するなど)
  • デジタルアセットとしてのポイント/ギフトと仮想通貨との交換

-ステージ2-

  • ステーブルコインなど仮想通貨と同じ技術を使った複数通貨を持って生活/取引する段階

<発表会での発言>
(D社時田社長)

  • 「仮想通貨を全くやったことがない人を巻き込むのはハードルが高いが当社サービスが投資/決済手段として仮想通貨を身近に感じてもらうきっかけになる」
  • 「既存の決済サービスと連携し、17年に仮想通貨をやっていたが価格が下がったために辞めた人たちが「もう1回やってみよう」と考える」のではないか」

(JR東日本)

  • 「「Suicaは始め、汎用な決済手段である現金チャージからスタート。キャッシュレスの流れの中で、デジタル通貨対応はお客様のニーズを満たす有力な選択肢の一つ」

【日経記事】
-仮想通貨でスイカ入金 IIJ系、サービス検討-
 インターネットイニシアティブIIJ)の持ち分法適用会社で仮想通貨交換会社のディーカレット(東京・千代田)は27日、仮想通貨をJR東日本電子マネーSuica(スイカ)」などのチャージに使えるサービスを検討していると発表した。利便性を高めて仮想通貨になじみが無い顧客層の取り込みにつなげる。
 時田一広社長が27日の記者会見で明らかにした。JR東日本はディーカレットに出資している。電子マネーへのチャージのほか、スマートフォンスマホ)決済とも連携させる考えで、「6~7月に複数の電子マネースマホ決済に対応したい」(時田社長)という。
 電子マネーなどとの連動に先駆けて、同日からスマホ向けのアプリ配信を始めた。4月16日から仮想通貨と現金の交換や、仮想通貨間の取引サービスを始める。「ビットコイン」など4種類の仮想通貨に対応し、6月には追加で「イーサリアム」にも対応する予定だ。
 時田社長は記者会見で「既に仮想通貨を所有している人の利便性を高めるだけでなく、利用場所を増やすことで仮想通貨を始めるきっかけになる」と話した。企業間の送金など、将来的に仮想通貨の用途が広がることにも期待を示した。
 ディーカレットにはIIJなどのほか伊藤忠商事野村ホールディングス三菱UFJ銀行などが出資。25日に資金決済法に基づく仮想通貨交換業者の登録が完了した。マネーロンダリング資金洗浄)対策や不正アクセスの防止策など、営業開始に向けて利用者保護の体制が整ったと判断した。

【事業戦略】メルペイをベースとするメルカリ経済圏について

メルペイカンファレンスが開かれまして、メルカリ/メルぺイの狙う新しい経済が明らかになってきました。めちゃエキサイティングな事業モデル&達成手段で、聞いていてワクワクしました><

滑らかな信用経済。やはり現在のギグエコノミーとかって江戸時代にルーツがある気がしてならない。

 

【全体概要】
<会社概要>

  • ミッションは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」で、「メルカリ」で培った技術力と膨大な顧客/情報基盤をもとに「メルペイ」を提供、将来的には決済手段の提供だけでなく新たな信用を生みだし、様々な金融サービスを提供していくことを目指しているとのこと。
  • また、18/7には「メルペイ」を導入する事業者拡大のためにメルペイコネクトを設立済み。

<メルカリの設立背景(思想とか)>

  • メルカリは、「スマホで個人-個人をつなぐことができたら素晴らしい世の中になる」という考えのもとで生まれ、メルペイは「信用を創造して滑らかな社会を創る」をミッションにメルカリを補完する存在の立ち位置。
  • 加えて、「お金でなく信用で成り立つエコシステム形成」を目指しており、究極的にはお金の必要ない社会を実現させる見立てです。それにあたってのエコシステムの上り方として下記を想定しているものとみられます。
  1. スマホ普及で消費行動が変化する中で必要となくなったモノに対する流動性提供(中古品購入/購入前の売値リサーチのデフォルト化)
  2. 資金流動性へのイノベーションで、第1歩としてスマホ決済サービスのメルペイを始動
  3. 信用経済(Alipeyモデルかはわからないですが…)の基盤となり得るスコアリングの導入

【メルペイカンファレンス】
[サマリ]

  • メルペイの社会実装のお披露目として、戦略含め諸々が発表されたカンファレンスで、主に「UI/UX向上に向けた取り組み」が話されました。具体的には「①パートナー連携を通じた決済手段の拡充」「②パートナー連携を通じた営業力獲得」「③Web上でのメルペイ利用シーン拡大」といったところとなります。
  • 決済乱立の昨今、後発サービスながらも他社との幅広い提携で、長所を活かし短所を埋める“強かさ”が光っています。

[考察]

  • 後発ゆえの見極めがうまいなと感じています。特にパートナー企業との提携を通じた相互補完による基盤構築や、低廉な決済手数料の永続化による加盟店魅力度の向上、その上での中立な基盤を目指している点、非常に面白いと思います。
  • 恐らくOpen/中立な基盤とすることで様々な加盟店に参画してもらい、二次流通を前提とする経済圏を構築、メルカリ本体は「1次→2次」の取引手数料でマネタイズするスキームなのではなかろうかと思います。

[カンファレンスの発表内容]
<エコシステムの形成>

  • メルペイはOpennessを旗頭に、複数のキャッシュレス決済手段の提供を通じたメルカリのUX高度化を行いつつ、公共事業者を巻き込んでマーケティングを含めたPFを形成するとみられます。
  • 後述施策の通り、今回の施策は「メルカリで手にしたお金」の出口拡大がメインで、まさに「二次流通で発生したお金を一次流通に回す」コトの体現だと考えられます。

<導入メリット>

メルペイ導入メリットは大きく下記3つとされています

①売上金保有者を中心とするアクティブ顧客基盤アクセス

  • メルペイのユニーク性はユーザー数だけでなく、ユーザーが”お金を持っている”ということで、決済サービス開始時の手間が最小で済むため、使われる決済手段になる

②年間約5,000億円の売上金を原資とした、新たな需要創出ポテンシャル

  • メルカリ取引での売上金は普段の生活費とは異なる資金で、いわば臨時収入。
  • ユーザーにとっては普段遣い+αの新たな消費需要を喚起する可能性があり、加盟店にとっても集客・収益拡大機会が期待できる

③「メルカリ」のデータ活用→より売れるようにデータを分析年間約5,000億円の売上金を原資とした、新たな需要創出ポテンシャル

  • 顧客分析を通じ、決済利用ニーズが高い地域を特定(エリア/年代/売上規模など)して加盟店展開を推進。
  • 効率的な加盟店拡大(メルペイ)/導入直後より使われる決済手段(加盟店)となることが期待できる

<拡大施策① 決済手段/使える場所の拡大…業務提携ラッシュ>

  • 決済方式及び営業面での事業強化に向けた業務提携を立て続けに発表しました。
  • 内容としては既存の加盟店取込(三井住友/JCB)と新規開拓(KDDI/地方公共団体)の両面で、物理的には劣位となる営業力補完を達成しうるものとみられます。

1:三井住友カード(iD)

  • 事業提携によりNFC:iD決済の利便性/加盟店網と、メルカリのアクティブユーザーをつなげてシナジーを生むことが可能になり、安心安全/便利なキャッシュレス決済を実現する
  • 「メルペイ」の非接触型決済対応開始にあたり事業提携…全国90万か所の「iD」加盟店で利用することが可能になる

2:JCB(QRコード)

  • 事業提携によりコード決済普及で協働を進め、加えてJCBが進める「スマートコード(決済手段乱立に伴うセキュリティや利便性の混乱解消ツールとして)」の普及も推進。
  • JCBが既に持っているクレジットカードの契約網を活用して今後開拓するSmartCode加盟店でメルペイが利用できるようになる

3:KDDI(営業補完)

  • 加盟店獲得のための営業活動を協力して実施。KDDIは「auPAY」として4月に独自のコード決済をリリースするが、KDDIとメルペイが今後、中小の加盟店に営業する際はauPAYとメルペイの両サービスを提案。
  • 物理的な営業力を補完する意味合いに加えて、au walletによる資金アクセスも。

4;地方公共団体(マイクロペイメントへの布石??)

  • 上記とはベクトル異なるものの、データ分析/マーケティング施策を用いた地域貢献による社会課題の解決、ひいては商店街などの加盟店拡大にもつなげる方針
  • 具体例;「福岡市→リサイクル」「仙台市→起業家支援」「千葉市→国家戦略特区」…商店街等も巻き込んだ、より小さいメッシュも網羅したPF形成を模索しているものと。

<拡大施策② 利用者拡大施策>

  • 現在は多くの手段が乱立し、ユーザー/加盟店双方で負担になっているため、UX向上/利便性高いサービスに重点を置いて施策を推進するとのこと。
  • Openness戦略;業種を超えた中立的な決済基盤構築をパートナー企業とともに目指す方針。ユーザーがどこでも使えて加盟店負担が少ない仕組みを目指す。
  1. メルペイあと払い;現在、メルカリで提供されている「メルカリ月イチ払い」での取引実績をもとにした、実店舗でも後払いが可能になる仕組み(2019年春に提供)
  2. ネット決済;Web決済版のメルペイで、Webで購入した商品をワンタップで出品できるようにする構想とのこと(競合の提供する決済手段に一味付けた格好)
  3. 個人間送金;当面は決済に注力するため、現状では考えていないとのこと。

<メルカリならではポイント(考察含む)>

  • 様々な決済手段/ユーザの利用シーン拡大策がありますが、決済手段として使われるには3つ条件があると考えられ、これに沿った形で推進されているものとみられます。

①売上金がすぐに少額でも使える(メルカリでの)
②多くの加盟店で使える(出口の多さ)
③メルカリのアプリでそのまま使える(新たにアプリDLが不要)

  • また、取得データ自体も、既存の商品開発の枠組みを超えたもので「二次流通を前提とした商品開発」に使えるデータが取得可能と捉えられ、これから進んでいくシェアリングエコノミー/サブスクリプション型のサービス設計においては必須のPFになり得ると考えられます。

【事業戦略】Jコインペイ(Byみずほ)について

メルペイカンファレンスに完全に埋もれてますが、実は昨日みずほFGがJコインペイのサービスについて発表をしていました。
https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20190220release_jp.pdf

完全に中小企業狙いだなあと思う一方で、ここを責めるのは確かに銀行としてはありかもと。カネの動くを把握しているからこその強みを生かせるか、面白い戦いになりそうです。

 

【概要】
・Jコインはスマホのアプリで「お金に関する様々な行為(送金/支払い等)」が完結する「銀行系デジタル通貨PF」と定義
・「いつでも・どこでも」「誰でも」「誰とでも」使える資金決済基盤の提供を目指す

<アプリについて>
・アプリは3/1より配信、同日からみずほ銀行の預金口座を登録する手続きも開始。
・利用にあたっては、銀行の預金口座を紐付ける必要があり、みずほBKなど60行の登録が可能
 ┗機能を扱うにはチャージが必要で、チャージ金額上限で送金や決済が可能
  (送金手数料は無料で、チャージ金額は預金口座戻しも手数料無料で可能)

<サービス>
・当初提供サービスは「個人間送金」のみ。
・「店頭決済」は加盟店側の対応なども必要となるため、時期ズレ…
 ┗QR/タブレット仕様の為、ハードルは低いはずですが。。。
 ┗加盟店開拓には銀行の営業網を活用、大規模なチェーン店以外に、中小規模の店舗にも広げる方針
  (加盟店の手数料は売上見合いで、クレカ手数料;2~5%を下回る水準になる見通し)
・今後は下記点に注力するとのことです。
 →加盟店ネットワークの拡充/連携強化
 →海外QR 事業者連携でのインバウンド旅行者決済サービス強化
 →経費精算や給与振込等の『企業-個人間送金』での活用

【考察】
<Jコインについて>
・決済アプリが乱立する中で、後発となったJ-Coinは独自の魅力を出さないと厳しい状況
 ┗ただ事業者目線に立ってみると、導入ハードルの低さ/銀行との取引(良かれ悪しかれ)/銀聯やアリペイとの協業といった部分は魅力的なのかと。
  →店頭決済の簡素化/インバウンド呼び込み/国内旅行者の呼び込み等
  (自身の銀行口座に直連携する決済手段があるのは旅行者にとってはうれしいものと)
  →また、仕入れや従業員への支払いといった部分でも用いるように仕向けるものと

・一方でMUFGコインは水面下では様々な業種との連携を模索していると伝え聞きますが、具体施策が出てこず。SMBCは特に動きなし。
 →銀行の土管化に対する危機感は各行同様ですので、各行で色が出てくるのだと思います

<今後の決済業界について>
・今後、出血還元による「アプリDL」、手数料無料&QRによる加盟店拡大がデフォとなる中で、戦うにはサービス事業者の本業や他業種/国際連携がキーになると思われます。
・以下は今後の業界を考えるうえでの論点です。

1;先行する競合決済サービスとの差別化
先行者の施策で、消費者に対する出血還元&+加盟店手数料無料化がデフォルトに
 ┗斯様な中でデフォルトとなっている条件を上回るメリットを創出する必要が生まれている
  →Jコインは事業者目線(成長産業たる観光客の取込)でのメリット遡及、また「銀行が運営するという信頼感」を前面に
2;他銀行の動き
・上述の通り、MUFGは「MUFGコイン」の発行計画を発表しているものの、未実現。
・現状、Jコインが一定の経済圏を奪取しようとする中で連携路線/独自路線のどちらを選ぶかはかなりの分岐点
  (現状の戦略を見るに、東南アジアとの接続がありそうですが)
SMBCは…うごきなし。
3;海外決済サービスとのアライアンス/データ利活用
・アリババは中国人のみならず日本人が利用できる決済サービスをターゲットにしてきた中で、今回の提携はアリババにとって日本を攻略する橋頭保になるとみられます。
 (ちなみに現在、日本でアリペイ支払いができるのは中国の銀行に口座を持つ中国人観光客など)
 ┗一時期、データ流出(購入履歴データの中国への流出)を懸念した政府から、アリババとの連携NGとのお達しが出たことも…
  →今回の発表では「決済情報に含まれる個人情報を国外に流出させないため、アリババと決済情報は共有しない」としている