Biz-Dev探検記(たまに息抜き)

主に情報通信/サービスPF界隈のお話を。たまに旅行とかアニメも。

【事業戦略】Jコインペイ(Byみずほ)について

メルペイカンファレンスに完全に埋もれてますが、実は昨日みずほFGがJコインペイのサービスについて発表をしていました。
https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20190220release_jp.pdf

完全に中小企業狙いだなあと思う一方で、ここを責めるのは確かに銀行としてはありかもと。カネの動くを把握しているからこその強みを生かせるか、面白い戦いになりそうです。

 

【概要】
・Jコインはスマホのアプリで「お金に関する様々な行為(送金/支払い等)」が完結する「銀行系デジタル通貨PF」と定義
・「いつでも・どこでも」「誰でも」「誰とでも」使える資金決済基盤の提供を目指す

<アプリについて>
・アプリは3/1より配信、同日からみずほ銀行の預金口座を登録する手続きも開始。
・利用にあたっては、銀行の預金口座を紐付ける必要があり、みずほBKなど60行の登録が可能
 ┗機能を扱うにはチャージが必要で、チャージ金額上限で送金や決済が可能
  (送金手数料は無料で、チャージ金額は預金口座戻しも手数料無料で可能)

<サービス>
・当初提供サービスは「個人間送金」のみ。
・「店頭決済」は加盟店側の対応なども必要となるため、時期ズレ…
 ┗QR/タブレット仕様の為、ハードルは低いはずですが。。。
 ┗加盟店開拓には銀行の営業網を活用、大規模なチェーン店以外に、中小規模の店舗にも広げる方針
  (加盟店の手数料は売上見合いで、クレカ手数料;2~5%を下回る水準になる見通し)
・今後は下記点に注力するとのことです。
 →加盟店ネットワークの拡充/連携強化
 →海外QR 事業者連携でのインバウンド旅行者決済サービス強化
 →経費精算や給与振込等の『企業-個人間送金』での活用

【考察】
<Jコインについて>
・決済アプリが乱立する中で、後発となったJ-Coinは独自の魅力を出さないと厳しい状況
 ┗ただ事業者目線に立ってみると、導入ハードルの低さ/銀行との取引(良かれ悪しかれ)/銀聯やアリペイとの協業といった部分は魅力的なのかと。
  →店頭決済の簡素化/インバウンド呼び込み/国内旅行者の呼び込み等
  (自身の銀行口座に直連携する決済手段があるのは旅行者にとってはうれしいものと)
  →また、仕入れや従業員への支払いといった部分でも用いるように仕向けるものと

・一方でMUFGコインは水面下では様々な業種との連携を模索していると伝え聞きますが、具体施策が出てこず。SMBCは特に動きなし。
 →銀行の土管化に対する危機感は各行同様ですので、各行で色が出てくるのだと思います

<今後の決済業界について>
・今後、出血還元による「アプリDL」、手数料無料&QRによる加盟店拡大がデフォとなる中で、戦うにはサービス事業者の本業や他業種/国際連携がキーになると思われます。
・以下は今後の業界を考えるうえでの論点です。

1;先行する競合決済サービスとの差別化
先行者の施策で、消費者に対する出血還元&+加盟店手数料無料化がデフォルトに
 ┗斯様な中でデフォルトとなっている条件を上回るメリットを創出する必要が生まれている
  →Jコインは事業者目線(成長産業たる観光客の取込)でのメリット遡及、また「銀行が運営するという信頼感」を前面に
2;他銀行の動き
・上述の通り、MUFGは「MUFGコイン」の発行計画を発表しているものの、未実現。
・現状、Jコインが一定の経済圏を奪取しようとする中で連携路線/独自路線のどちらを選ぶかはかなりの分岐点
  (現状の戦略を見るに、東南アジアとの接続がありそうですが)
SMBCは…うごきなし。
3;海外決済サービスとのアライアンス/データ利活用
・アリババは中国人のみならず日本人が利用できる決済サービスをターゲットにしてきた中で、今回の提携はアリババにとって日本を攻略する橋頭保になるとみられます。
 (ちなみに現在、日本でアリペイ支払いができるのは中国の銀行に口座を持つ中国人観光客など)
 ┗一時期、データ流出(購入履歴データの中国への流出)を懸念した政府から、アリババとの連携NGとのお達しが出たことも…
  →今回の発表では「決済情報に含まれる個人情報を国外に流出させないため、アリババと決済情報は共有しない」としている